廃用症候群と訪問マッサージについて
お世話になっております。
練馬区の訪問マッサージ「練馬の手」の訪問施術スタッフ、岩井将人です。
10月も後半に入り、秋の気配を感じる季節になってきました。
きょうは、「動かないと身体はどう変わる?―廃用症候群を生理学から考える」
というテーマでお話ししたいと思います。
■「動かない」ことで起こる廃用症候群とは?
高齢になると、病気やケガ、入院などをきっかけにベッドで過ごす時間が増えることがあります。
「体調が悪いのだから、しばらく安静にしていた方がいい」
もちろん、治療のために安静が必要な時期もあります。
しかし、必要以上に身体を動かさない状態が長く続くと、
今度は「動かないこと」そのものによって身体の機能が低下してしまうことがあります。
これを**「廃用症候群」**と呼びます。
廃用症候群は一つの症状だけを指すものではありません。
筋力低下、関節の動きの低下、心肺機能の低下、起立性低血圧、消化機能の低下など、全身にさまざまな変化が現れます。
特に高齢者では、一度活動量が落ちると、
「動かない」 ↓ 「筋力が落ちる」 ↓ 「立つ・歩くことが大変になる」 ↓ 「さらに動かなくなる」
という悪循環に陥りやすくなります。
■筋肉は「使わなければ減っていく」
私たちの筋肉は、立つ、歩く、姿勢を保つといった日常動作の中で、常に刺激を受けています。
ところが、ベッド上で過ごす時間が長くなると、筋肉にかかる負荷が大きく減少します。
すると身体は、今までと同じ量の筋肉を維持する必要がないと判断し、筋タンパク質の合成と分解のバランスが変化していきます。
その結果、筋肉量や筋力が低下していきます。
特に影響を受けやすいのが、太ももやお尻、ふくらはぎなどの立位や歩行を支える抗重力筋です。
そのため、「少し入院していただけなのに、退院したら立ち上がるのが大変になった」ということも珍しくありません。
高齢者の場合、加齢による筋肉量の減少、いわゆるサルコペニアが背景にあることも多いため、
活動量の低下が重なることで身体機能がさらに低下しやすくなります。
■関節も動かさないと硬くなる
影響を受けるのは筋肉だけではありません。
関節を長期間動かさない状態が続くと、筋肉や腱、関節包など関節周囲の組織が硬くなり、
関節可動域が狭くなることがあります。
これが進行すると「拘縮」と呼ばれる状態につながります。
例えば、膝が伸びにくくなる、足首が動かしにくくなる、肩が上がりにくくなるといった変化です。
関節の動きが小さくなると、寝返り、起き上がり、立ち上がり、更衣などの日常生活動作にも影響します。
だからこそ、身体の状態に合わせて無理のない範囲で関節を動かしていくことが大切になります。
■心臓や肺にも「動かないこと」の影響が
廃用症候群は、筋肉や関節だけの問題ではありません。
活動量が低下すると、心臓や血管など循環器系にも影響が現れます。
横になっている時間が長くなることで、立ち上がった際の血圧調節がうまくいかず、
ふらつきやめまいが生じることもあります。
また、身体を動かす機会が少なくなると呼吸も浅くなりやすく、
胸郭の動きが小さくなることがあります。
普段何気なく行っている「歩く」「立つ」「身体を起こす」という動作は、
実は筋肉だけではなく、循環や呼吸にも刺激を与えているのです。
■大切なのは「大きな運動」だけではありません
「廃用を防ぐためには運動しなければ」と聞くと、
歩行訓練や筋力トレーニングを想像されるかもしれません。
しかし、必ずしも大きな運動だけが必要というわけではありません。
例えば、
ベッド上で足首を動かす。
膝を曲げ伸ばしする。
寝返りをする。
ベッドから起きて座る。
椅子から立ち上がる。
少しだけ歩いてみる。
こうした日常生活の中の小さな動きも、身体にとって大切な刺激になります。
もちろん、病気や身体状態によって適切な運動量は異なりますので、無理に動かすのではなく、その方の状態に合わせることが重要です。
■訪問マッサージで「動ける身体」を支える
訪問マッサージでは、単に筋肉を揉みほぐすだけではなく、その方の身体状態に合わせて関節運動や機能訓練などを組み合わせることがあります。
「歩けるようになる」だけが目標ではありません。
ベッド上で身体を動かしやすくする。
寝返りをしやすくする。
座っていられる時間を少しずつ延ばす。
立ち上がりや移乗を行いやすくする。
こうした一つひとつの動作を維持していくことも、日常生活を支える大切な取り組みです。
身体は、使うことでその機能を保とうとします。
反対に、使わない期間が長くなるほど、さまざまな機能が低下していく可能性があります。
だからこそ、
「今できている動きを、できるだけ長く続ける」
という視点が大切なのだと思います。
秋の練馬でジャズのリズムを楽しみながら、ぜひご自身やご家族の「身体のリズム」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
毎日のちょっとした動きの積み重ねが、これからの生活を支える大切な一歩になるかもしれません。
訪問マッサージ「練馬の手」では、利用者様一人ひとりのお身体の状態に合わせ、
マッサージや関節運動、機能訓練などを行っています。
これからも利用者様の日々のお身体の変化にも目を向けながら、
安心して生活を続けていただけるよう、訪問施術を通じてサポートしてまいります。
当院の訪問エリアですが、主に以下の通りとなっております。
東京都(練馬区)、埼玉県(和光市、朝霞市、新座市、志木市)
引き続き、よろしくお願いいたします。
訪問マッサージ「練馬の手」
訪問スタッフ あん摩マッサージ指圧師 岩井 将人
