高齢になると暑さ・寒さを感じにくくなる? ―体温調節と訪問マッサージ
お世話になっております。
訪問マッサージ 『練馬の手』 訪問スタッフの岩井将人です。
今回のテーマは、**「高齢になると暑さ・寒さを感じにくくなる?―体温調節と訪問マッサージ」**です。
9月に入っても暑い日が続く一方、
朝晩は少しずつ気温が下がり、季節の変わり目を感じる時期になってきました。
このような時期に特に気をつけたいのが、高齢者の「体温調節」です。
ご家族から、
「部屋が暑いのに本人は暑くないと言う」
「寒い日なのに薄着のままでいる」
「エアコンをつけたがらない」
といったお話を聞くことがあります。
実はこれは、単なる好みの問題ではありません。
高齢になると、身体のさまざまな機能が変化し、
暑さや寒さを感じ取る力や、体温を一定に保つ力が低下することがあります。
■ 私たちの身体は、どうやって体温を調節しているのでしょうか?
人間の身体には、体温をある程度一定に保とうとする仕組みがあります。
暑いときには皮膚の血管を広げて身体の熱を外へ逃がし、汗をかくことで体温を下げようとします。
反対に寒いときには皮膚の血管を収縮させ、身体の熱が外へ逃げるのを抑えます。
また、筋肉を細かく震わせる「ふるえ」によって熱を作ることもあります。
こうした調節には、皮膚の温度感覚、自律神経、血流、発汗、筋肉など、さまざまな機能が関係しています。
ところが加齢に伴い、これらの働きが少しずつ低下することがあります。
■ 高齢になると、なぜ暑さを感じにくくなるのでしょうか?
高齢者では、皮膚の温度変化を感じ取る感覚が低下することがあります。
さらに、発汗機能の低下や皮膚血流の調節能力の変化などによって、
若い頃と比べて身体の熱を外へ逃がすことが難しくなる場合があります。
そのため、室温がかなり高くなっていても、
「そんなに暑くないよ」
「エアコンはいらない」
と感じてしまうことがあります。
ここで注意したいのは、「暑いと感じていない=身体に負担がかかっていない」ではないということです。
本人が暑さを強く自覚していなくても、身体には熱がこもり、脱水や熱中症につながる可能性があります。
特に高齢者では、喉の渇きを感じにくくなることもあるため、
「喉が渇いていないから水分は必要ない」と判断するのは注意が必要です。
■ 寒さにも注意が必要です
同じように、高齢になると寒さに対する反応も変化します。
筋肉は身体の熱を作るうえで重要な役割を持っています。
しかし、加齢や活動量の低下によって筋肉量が減少すると、熱を作る能力も低下しやすくなります。
また、身体活動が少なく、ベッドや椅子で過ごす時間が長い方では、自分で身体を動かして熱を作る機会も少なくなります。
特に訪問マッサージを利用されている方の中には、歩行が難しい方、寝たきりの方、関節拘縮や筋力低下がある方もいらっしゃいます。
そのような方では、季節だけではなく、室温・衣服・寝具・身体活動量などを含めて身体の状態を見ることが大切です。
■ 「手足が冷たい」=身体全体が冷えている?
ここにも注意が必要です。
手足の冷たさだけで、身体全体の体温を判断することはできません。
末梢の血流が低下すると、手足が冷たく感じられることがあります。
一方で、室温が高い環境では身体の中心部に熱がこもっている可能性もあります。
そのため、
「手が冷たいから部屋をもっと暖かくしよう」
と単純に判断するのではなく、室温や湿度、発汗、顔色、呼吸状態、意識状態なども含めて確認することが重要です。
■ 訪問マッサージだから気づける身体の変化
訪問マッサージでは、実際にご自宅や施設へ伺い、利用者様の身体に直接触れながら施術を行います。
そのため、施術中には筋肉の緊張や関節の動きだけでなく、
・いつもより皮膚が熱い、または冷たい
・汗の量が多い
・顔色がいつもと違う
・呼吸が速い
・身体がだるそう
・反応や会話がいつもより少ない
・手足のむくみが強くなっている
といった変化に気づくことがあります。
もちろん、これらだけで病気を判断することはできません。
しかし、「いつもと違う」という小さな変化に早く気づくことは、高齢者の体調管理では非常に重要です。
必要に応じて、ご家族や施設職員、ケアマネジャー、看護師などと情報を共有し、
適切な対応につなげていくことも訪問現場では大切になります。
■ 身体を動かすことも体温調節の一助になります
筋肉は身体を動かすだけでなく、熱を作る役割も担っています。
そのため、その方の身体状況に合わせて無理のない範囲で身体を動かし、筋活動を保っていくことは大切です。
訪問マッサージでは、筋緊張の緩和や関節可動域の維持を目的としたマッサージだけでなく、
状態に応じて関節運動や軽い運動などを取り入れることがあります。
身体を動かす機会を作り、日常生活の中で少しでも活動量を維持していくことは、筋力低下や廃用の予防という意味でも重要です。
ただし、暑い環境で無理に運動を行うことは、かえって身体への負担になります。
「運動すればよい」のではなく、その日の体調や室温、湿度、水分摂取状況などを確認しながら行うことが大切です。
■ 本人の「暑くない・寒くない」だけで判断しないこと
高齢者の体温管理で覚えておきたいのは、
「本人がどう感じているか」と「実際の身体や環境の状態」が必ずしも一致するとは限らない
ということです。
本人の感覚を尊重することはもちろん大切ですが、それだけに頼らず、
室温や湿度を確認し、衣服や寝具、水分摂取、発汗、顔色、活動量などを総合的に見ていく必要があります。
特に季節の変わり目は、一日の中でも気温差が大きくなります。
昨日と同じ服装、昨日と同じ室温設定が、今日も適切とは限りません。
ご家族や介護に関わる方が、
「今日はいつもより汗をかいているな」
「今日は手足が冷たいな」
「いつもより元気がないな」
といった小さな変化に目を向けることが、体調悪化を防ぐ第一歩になります。
訪問マッサージ 練馬の手では、マッサージや機能訓練だけを見るのではなく、
その日の利用者様の表情や動作、身体の反応などを確認しながら施術を行うことを大切にしています。
身体に直接触れる仕事だからこそ気づける小さな変化を、ご本人・ご家族・介護や医療に関わる皆様と共有しながら、
安心して生活を続けられるよう支援していきたいと考えています。
引き続き、ご支援のほど宜しくお願い致します。
練馬区の訪問マッサージ 練馬の手
訪問スタッフ あん摩マッサージ指圧師 岩井 将人
