呼吸と身体の関係
お世話になっております。
訪問マッサージ「ダヴィンチの手」の訪問施術スタッフ、岩井将人です。
今回は、訪問マッサージの仕事に興味を持っている方や、
これから訪問分野で働いてみたいと考えている施術者の方に向けて、
**「呼吸と身体の関係」**について、実際の訪問施術という視点からお話ししたいと思います。
訪問マッサージでは、筋緊張や関節可動域、疼痛などに目を向ける機会が多くあります。
しかし、高齢者の身体を評価するときには、それだけでなく姿勢や胸郭の動き、そして呼吸状態を観察することも非常に大切です。
呼吸を一つの手がかりとして身体全体を見ることで、訪問施術の仕事の奥深さが見えてきます。
呼吸は「肺だけ」の問題ではありません
呼吸というと、まず肺をイメージすると思います。
しかし実際には、横隔膜や肋間筋、胸郭、胸椎、肩甲帯など、さまざまな組織が関係しています。
息を吸うと横隔膜が収縮して下降し、胸郭が広がります。
それによって肺に空気が入ります。息を吐くと横隔膜が弛緩し、胸郭が元の状態へ戻っていきます。
つまり呼吸は、肺だけで完結するものではなく、筋肉・関節・胸郭・姿勢などが協調して行われる身体活動です。
この視点を持って利用者様の身体を見ると、
普段行っているマッサージや関節運動、姿勢へのアプローチも、少し違った意味を持って見えてきます。
高齢者では「姿勢と呼吸」を一緒に見る
訪問マッサージの対象となる高齢者では、加齢や疾患、活動量の低下などによって身体機能が変化しています。
特によくみられるのが、円背や骨盤後傾、頭部前方位などの姿勢です。
長時間ベッド上で過ごしている方や、車椅子座位の時間が長い方では、こうした姿勢が固定化していることも珍しくありません。
背中が丸まり、胸部が縮こまった姿勢になると、胸郭を大きく動かしにくくなることがあります。
また、背部や肩甲帯周囲の筋緊張が高く、上半身全体の動きが小さくなっているケースもあります。
そのため施術では、「肩が硬い」「背中が硬い」と局所だけを見るのではなく、
なぜこの部分が硬くなっているのか。
普段どのような姿勢で過ごしているのか。
呼吸したときに胸郭はどの程度動いているのか。
といった視点を持つことが大切だと考えています。
訪問だからこそ見える身体があります
訪問マッサージの大きな特徴の一つは、利用者様が実際に生活している環境を見ることができることです。
ベッド上で過ごす時間が長いのか、車椅子で過ごしているのか、どのような姿勢でテレビを見ているのか。
こうした生活環境そのものが身体に影響しています。
例えば施術直後には身体が伸びやすくなっていても、一日の大部分を身体が丸まった姿勢で過ごしていれば、再び同じ姿勢へ戻りやすくなります。
そのため、訪問施術では単に「30分間施術して終わり」ではなく、その方が残りの時間をどのように過ごしているのかを想像することも重要です。
場合によっては、ご家族や施設スタッフと情報を共有し、クッションの位置やベッド上の姿勢などを確認することもあります。
生活そのものを見ることができるのは、訪問マッサージならではの面白さだと思います。
呼吸を見ることは「全身状態を見ること」
施術前には、その日の利用者様の状態を確認します。
「今日はいつもより元気がない」
「呼吸が少し速い」
「会話をすると息が切れている」
「顔色がいつもと違う」
こうした小さな変化に気づくことは、安全に施術するうえで非常に重要です。
特に高齢者の場合、その日の体調によって身体の反応が大きく異なることがあります。
普段と同じ施術内容を機械的に繰り返すのではなく、血圧、脈拍、呼吸、覚醒状態、疲労度などを確認しながら、
その日の状態に合わせて刺激量や施術内容を調整する必要があります。
呼吸状態に明らかな異常がある場合には、マッサージを行うことよりも、
施術を中止してご家族や施設スタッフ、医療関係者へつなぐ判断が必要になることもあります。
「何をするか」だけでなく、「今日はやってよい状態なのか」を判断することも施術者の重要な仕事です。
マッサージだけではない訪問施術
「訪問マッサージ」という名称から、ベッド上で筋肉を揉む仕事を想像される方もいるかもしれません。
しかし実際の現場では、それだけではありません。
身体状況に合わせて、マッサージ、関節運動、肩甲帯や骨盤帯へのアプローチ、体位変換、座位保持、簡単な運動などを組み合わせることがあります。
例えば、背部や肩周囲の筋緊張が強い方には、まずリラックスできるような刺激から始めます。
そこから肩甲骨周囲や体幹を無理のない範囲で動かし、上半身全体の動きを引き出していきます。
身体の状態が良ければ、座位や立ち上がりなど、より抗重力位での活動につなげることもあります。
もちろん、すべての利用者様に同じ施術を行うわけではありません。
その方の疾患、身体機能、生活環境、当日の体調などを考えながら、
**「今、この方に必要なことは何か」**を考えて組み立てていくことが訪問施術の重要な部分です。
小さな変化を見つける面白さ
訪問施術では、一度の施術で大きな変化が出るとは限りません。
しかし継続して訪問していると、
「以前より肩の力が抜けてきた」
「背中が少し伸びやすくなった」
「座っている姿勢が安定してきた」
「関節を動かしたときの抵抗が少なくなった」
といった小さな変化に気づくことがあります。
こうした変化を積み重ねながら、その方が少しでも快適に生活できる状態を目指していきます。
また、毎週同じ利用者様と関わるからこそ、「いつもと違う」という変化にも気づきやすくなります。
これは継続的に利用者様と関われる訪問マッサージの大きな特徴です。
身体を「部分」ではなく「全体」で考える仕事
今回取り上げた呼吸も、訪問施術で身体を見るための一つの入り口です。
呼吸を見ると胸郭が気になり、胸郭を見ると姿勢が気になり、
姿勢を見ると骨盤や肩甲帯、筋緊張、日常生活での過ごし方へと視点が広がっていきます。
一つの症状だけを追いかけるのではなく、「なぜこの身体の状態になっているのだろう」と考えること。
そこに訪問マッサージの専門職としての面白さがあると思います。
訪問マッサージ「ダヴィンチの手」では、
利用者様一人ひとりの身体状態や生活環境を確認しながら、安全性を大切にした施術を行っています。
マッサージの技術だけでなく、身体の見方や高齢者への対応、姿勢や動作についても学びながら、利用者様の生活を支えていく。
「人の身体をもっと深く学びたい」「一人ひとりと継続して向き合える仕事がしたい」
そのような方にとって、訪問マッサージは多くのことを学べる仕事だと思います。
これから訪問分野に挑戦してみたい方にも、今回の記事を通して、訪問マッサージの仕事の一端を知っていただければ幸いです。
当院にご興味がございましたら、ぜひ、ウェブページのお問い合わせなど、気軽にメッセージをください。
現在、当院では一緒に働く仲間を募集しております。
町田市・相模原市、多摩エリアの訪問マッサージ
ダヴィンチの手 あん摩マッサージ指圧師 岩井 将人
