体幹から考える安定した座位姿勢
骨盤と体幹から考える、安定した座位姿勢
~暮らしの中の「座る」を支える、訪問マッサージの視点~
お世話になっております。練馬区の訪問マッサージ「練馬の手」
訪問スタッフ(あん摩マッサージ指圧師)の岩井将人と申します。
訪問マッサージの現場では、施術前後に椅子や車椅子へ座っていただく機会があります。
その際、「身体が片側へ傾く」「お尻が前にずれる」「背もたれから離れると不安そうになる」といった様子に気づくことがあります。
こうした変化を、筋力低下だけで説明することはできません。
骨盤や体幹の状態、関節可動域、感覚、疲労、そして椅子との適合などを含めて考える必要があります。
今回は、訪問マッサージの仕事に関心のある方へ、
安定した座位姿勢を支えるための観察と関わりについてお伝えします。
■ 骨盤を「姿勢の土台」として見る
座位では、骨盤が上半身を支える土台になります。
骨盤の傾きや回旋、左右への偏りは、その上に位置する脊柱や頭部の位置にも影響します。
例えば、骨盤後傾が強く、お尻が前方へ滑っている方では、体幹が屈曲し、前を見るために頸部へ負担がかかることがあります。
このとき、肩や背中だけを見て「胸を張ってください」と伝えても、姿勢を保ちにくい場合があります。
まず確認したいのは、お尻が座面のどこにあるか、左右どちらかへ偏っていないか、足元が支えられているかという点です。
ただし、骨盤を起こすこと自体が目標ではありません。
円背や関節拘縮がある方では、無理な修正が痛みや緊張につながります。
動かせる範囲と、ご本人が楽に過ごせる位置を丁寧に確認することが大切です。
■ 体幹は「保つ力」と「動きに対応する力」
座位の安定性を考える際には、静かに座っていられるかだけでなく、動作中の様子にも目を向けます。
コップへ手を伸ばす、隣の人へ顔を向ける、衣服を整える。こうした日常動作には、身体の重心移動に合わせて姿勢を調整する働きが必要です。
安静時には座れていても、片手を離すと傾く方や、手を伸ばした後に元の位置へ戻りにくい方もいらっしゃいます。
体幹の筋力に加え、麻痺や感覚障害、痛み、転倒への不安なども関係するため、一つの要因に決めつけない視点が求められます。
観察のために無理な動作を求める必要はありません。会話や普段の動作から情報を得ながら、必要な介助や支持を確保します。
■ 足底・座面・背もたれを一緒に確認する
身体の状態と同じくらい大切なのが、座る環境です。
足底が床やフットサポートに届いているか、太ももが座面に支えられているか、座面の前縁が膝窩を圧迫していないか。
さらに、背もたれの位置や肘掛けの高さが、その方の身体に合っているかも確認します。
例えば、足が浮いている方に対しては、体幹への働きかけに加え、足元の支持を見直す視点が必要です。
反対に、クッションを追加したことで座面が高くなり、足が届きにくくなる場合もあります。
用具の調整は、部分だけで判断すると別の負担を生むことがあります。
変更が必要と思われる場合には、リハビリ職や福祉用具の担当者へ相談し、全体の適合を確認することが大切です。
■ マッサージを、生活動作につなげて考える
訪問マッサージでは、背部や腰部、臀部などの筋緊張、関節の動かしにくさに対し、ご本人の状態に合わせて施術を行います。
その際に意識したいのは、「筋肉が緩んだ」「関節が動きやすくなった」という変化が、生活の中でどのような意味を持つかです。
施術後に座り直しやすくなったか、腰のつらさが軽くなったか、上肢を動かす際の負担が変わったか。
こうした点を、ご本人の言葉と実際の動作から確かめます。
一方で、施術直後の変化だけで、座位能力が継続的に改善したとは判断できません。
その日の体調や疲労、介助の方法も影響します。訪問ごとの経過を追い、変化が続いているかを確認する姿勢が必要です。
■ 本人の言葉を、評価の中心に置く
姿勢の見た目が整っていても、ご本人が苦痛を感じていては、生活の中で続けることが難しくなります。
「この位置だと楽ですか」 「腰やお尻に痛いところはありませんか」 「少し時間がたつと疲れますか」
具体的に尋ねることで、外からの観察だけではわからない情報を得られます。
言葉で伝えることが難しい方では、表情、呼吸、身体のこわばり、座り直そうとする動きなどを確認します。
また、食事のために座るのか、テレビを見て休むのかによって、求められる支えも変わります。
「何のための座位か」を共有することが、その方に合った支援につながります。
■ 多職種へ伝わる観察と記録
訪問先で得た気づきは、具体的に共有することで支援に生かしやすくなります。
「座位が不安定でした」だけでは、状況を十分に伝えられません。
「座位開始から数分で右側へ傾いた」「足元を支えると座り直す回数が減った」など、条件と反応を記載することが大切です。
ご本人の発言があれば、実際の言葉として記録します。
急に傾きが強くなった場合や、意識状態の変化、新たな麻痺などを伴う場合には、
姿勢の問題として扱わず、速やかに医療職へ連絡する判断も必要です。
施術者一人で完結させず、ご家族様や介護職、看護職、ケアマネジャー様、リハビリ職と情報をつなぐことも、訪問の大切な役割です。
■ 「座る時間」を支える仕事に関心のある方へ
座位姿勢を考えることは、骨盤や背骨の位置を見ることに加え、
その方がどのような毎日を過ごしたいかを知ることでもあります。
食卓でご家族と過ごす時間、好きな番組を見る時間、誰かと会話する時間。
その背景にある「楽に座れる」を支えられることは、訪問マッサージのやりがいの一つです。
解剖学や運動学の知識を、ご本人の言葉や生活環境と結びつけて考える。
そうした仕事に関心のあるあん摩マッサージ指圧師の方は、練馬の手の採用についてもお気軽にお問い合わせください。
訪問マッサージ「練馬の手」では、お身体の状態やその日の体調に合わせた施術を行っています。
練馬区をはじめ、和光市・朝霞市・新座市・志木市周辺で、訪問マッサージをご検討の方はお気軽にご相談ください。
ご本人様はもちろん、ご家族様、ケアマネジャー様からのご相談もお待ちしております。
訪問マッサージ「練馬の手」
訪問スタッフ(あん摩マッサージ指圧師)
岩井将人
