訪問マッサージで行うリハビリについて
お世話になっております。ダヴィンチ治療院、院長の神田です。
今日は、訪問マッサージで実施するリハビリについて、お話させて頂きたいと思います。
訪問マッサージでは、訪問マッサージのみの表記と訪問リハビリマッサージの表記をしている事業者(治療院)とに分かれています。
どちらも、業務形態としては訪問マッサージなのですが、リハビリの表記について各々、有無があります。
当院では、ホームページにおいて訪問マッサージと表記しており、
サービス説明として、リハビリの充実(マッサージ+リハビリ)を掲げています。
リハビリテーションについては、本来は包括的な意味合いがあり、4つに分類されています。
教育的リハビリテーション、社会的リハビリテーション、職業的リハビリテーション、
そして、医学的リハビリテーションです。
一般に、病院で行うリハビリは、医学的リハビリテーションに含まれます。
当然、当院で行うのもおおよそ、この内容となります。
ただし、医学的リハビリテーションは、医師の指示に基づいて行うものとされているため、
正式には、当院の行うサービスについては、医学的リハビリテーションではないと言えます。
医師による直接の指示がない以上、機能訓練というイメージの方が正しいかもしれません。
機能訓練については、機能訓練指導員が行うものであり、施設やデイサービス(通所介護)で行われています。
その有資格として、理学療法士や作業療法士の他、
看護師・准看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師(新たに加えられた)などが挙げられます。
機能訓練指導員が行うものとのことですから、資格条件は満たしても、訪問マッサージはそれとは違うため、
綿密には、機能訓練とも違う、ということになるかもしれません。
通念上、分かりやすくするために、リハビリや機能訓練という言葉を当院では使わせて頂いています。
私が、理学療法士+あんまマッサージ指圧師ということで、今のところ、苦情などはありませんが、
法律的なことを言えば、何かしらの問題があるのかもしれません。
ただ、私としては、そんな観念よりも、はるかに中身の方が重要だと考えています。
医療としての中身があること、担保されていること、
しっかりとした訓練内容が確保・確立されていること、この方が患者様にとっては重要です。
逆に言えば、法的に問題が無くても、中身が伴わなければ、それは何も意味をなさない。とも思っています。
当院で実施するリハビリ(機能訓練)については、院長である私が管理・指導をしています。
理学療法士として学んだ知識や技能、各種セミナーなどの内容を取り入れて実施しています。
それだけに留まらず、オステオパシーやカイロプラクティックなどのアメリカ医学もサービスに加えています。
形式ではなく、いかに実効性のあるサービスを提供するか、患者様に合わせた内容をピックアップできるか、に力を入れています。
今年に入り、治療目標の設定などを取り入れたので、目標に向けて施術プログラムも徐々にカスタマイズしていくことを心掛けています。
さて、リハビリの概要ばかりの話になってしまいましたが、
次に、なぜ、
前述したように訪問マッサージのみ、訪問リハビリ・マッサージとに事業者ごとに分かれるのか、についてもお話をさせて頂きます。
これは、あくまで私の個人的な見解となりますので、参考とのみして下さい。
まず、一つ目の理由として、
リハビリ=医師の指示が必要なもの、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行うもの
との認識があるからだと思います。
訪問マッサージは、制度上、あんまマッサージ指圧師が医師の同意(×指示)に基づいて行うものですから、上記の条件には入りません。
そのため、リハビリの表記を避けている事業者が多いのではないかと思います。
二つ目の理由として、
リハビリ・機能訓練は付帯サービスであり、時間的な余裕もない、ということが挙げられます。
訪問マッサージでは、5部位のマッサージ、4部位の関節徒手矯正として施術費が設定されています。
そのため、リハビリなど他の内容を行っても医療費などの上乗せは一切ありません。
それでいて、時間が通常より必要になる訳ですから、多くの事業所が実施しないというのは納得がいきます。
訪問マッサージは、1回あたりいくら、というサービス料金設定になっていますから、時間が10分でも60分でも保険者に請求できる療養費は同じです。
別の観点から言えば、患者様への負担については、時間の長短では変わらない(10分でも60分でも同じ)、ということです。
当院においても、あくまでマッサージに加える付帯サービスとして、リハビリを実施しています。
最後の三つ目の理由として、
責任問題が挙げられます。
具体的には、万が一、リハビリ訓練中に転倒などが起こり、患者様にけがをさせてしまった場合、
補償や責任についての問題が発生するということです。
ほとんどの事業者、治療院については、何らかの損害賠償保険に加入していると思われ、
施術中の事故については、おおよそ補償がなされます。
しかしながら、これには例外があります。
それが、リハビリや訓練であり、特に歩行訓練ということになります。
あん摩マッサージ指圧師が加入できる損害賠償保険の適用範囲は、施術(マッサージや指圧などの手技)による事故が対象です。
それに加えて、車椅子などでの移動時(施術への前後移動)が補償範囲に含まれます。
つまり、立ち上がりなどの起居動作訓練、バランス訓練、歩行訓練などは該当しません。
万が一、歩行訓練中に転倒させてしまった場合、賠償保険が適用にならないのです。
これは、私が全国にある大手保険会社や各協会などに電話をし、実際に資料を請求して確認したことです。
各協会の窓口の方、保険担当の方は、歩行訓練も補償に入りますと、皆、口に揃えて言いいますが、
実際の規約などを確認すると、そうした文言は一切なく、補償外になっていることが分かります。
施術後に、マッサージによる効果判定として歩行を行う場合は、補償対象に入るということですが、
実際の事故が起こった際、これで大丈夫という確証は全くありません。
むしろ、理由を付けて給付をしてくれない可能性が高いと考えた方がいいでしょう。
あん摩マッサージ指圧師が、リハビリや機能訓練を行うのには、こうした大きな問題があるのです。
理学療法士などの専門職では、リハビリが業務の主体ですから、訓練時の事故が当然保険で補われます。
通所介護などにおいては、個人ではなく、通所介護事業としての賠償保険に入るため、これも網羅されています。
訪問マッサージであんまマッサージ指圧師が実施する機能訓練、リハビリが補償対象外なのです。
これは、我々が訓練等のサービスを提供するうえで、本当に大きな支障だと言えます。
私も、過去には保険会社や各マッサージ協会に内容を修正してもらいないか、呼びかけ、お願いを行いましたが、どうにもなりませんでした。
そのため、苦肉の策として、予め利用承諾(事故における責任の制限)をご本人やご家族に記載して頂いています。
※利用承諾(事故が起こった場合、当院負担費用の上限を50万円までとさせて下さい)を頂いた患者様のみリハビリ・訓練を実施します。
加えて、私がリハビリの管理・指導を行っていると言いましたが、
転倒などのリスクが高い患者様には、訓練内容を具体的に指示し、一定の制限をかけています。
できれば、その患者様の上限にて訓練を実施(トップダウン方式)してあげたい気持ちもあるのですが、
例外を除いては、ほぼボトムアップ方式で、階段状に徐々に訓練を引き上げるようにしています。
これが、訪問マッサージで現状できる、本当に上限だと思います。これ以上は無いでしょう。
もし、他の事業所が安易にリハビリ、訓練について実施し、考えているならば、しっかり見直さないと大変なことになります。
やや最後の補償関係の話に力が入ってしまいましたが、
それでも、当院では今後もリハビリを施術サービスに取り入れていく考えです。
それは、やはり患者様のメリットのためです。
これだけ医療費が膨らみ、日本の財政をも圧迫し、治らない患者様が多く存在している現状において、
我々医療従事者がリスクを恐れ、消極的な介入ばかりに走っていては、また無駄に費用を重ねるだけです。
治療・施術のプロフェッショナルとして、安全を確保しながらも、ギリギリを責める、最大効果を狙う、
これが、治療家の本分であり、これでこそ、ザ・治療家(スペシャリスト)です。
当院では、そうしたことで、今後も何でも制限なくはできませんが、
可能な限り、各々の医療ニーズに対応した包括的サービスを提供していきます。
引き続き、どうぞ、よろしくお願いいたします。
町田市・多摩市・相模原市等における地域医療の貢献を目指して!
訪問マッサージ ダヴィンチ治療院
理学療法士・あんまマッサージ指圧師 神田 裕幸
当院で行う歩行訓練は、最大限の注意を払いながら、無理のない範囲で実施しております。
施設での患者様の場合、訪問リハビリの介入が難しく、訪問マッサージで行うケースが増えています。