訪問マッサージ師の自己研鑽法について
お世話になっております。ダヴィンチ治療院、院長の神田です。
2022年も早くも半分が過ぎ、後半に入りましたね。
梅雨が例年よりも早く明け、連日の猛暑で大変です。
特に感染対策で、N95マスクに加え、フェイスシールドも着用しているので、息苦しさが半端ではありません。
さすがに、我々施術側が倒れてしまっては元も子もないので、防護性は落とさずに色々と工夫をしております。
さて、今ブログのテーマですが、
今回は、訪問マッサージにおける『マッサージ師の自己研鑽法』についてお話したいと思います。
ここ最近、訪問スタッフの同行に入っていますが、
「皆、それぞれの個性・特異性を活かし、考えながら訪問に当たっているなぁ。」と思いました。
訪問リハビリもそうなのですが、
訪問マッサージって、何をどうしなければならない、という決まりは、ほとんどないんですよね。
だから、個々にやり方が違うことが多い。
患者様側からすれば、何が良くて何が悪いのかが判別しにくい、とも言えます。
さらに、施術の良し悪しよりも、相性を重視される方も多くいらっしゃる、
だから、その方にとって、何が最善か?これで良いのか?という判断に迷うことがあります。
そんな中で、私が訪問スタッフに同行した際、何を見ているかというと、
一番には、訪問時の雰囲気を感じ取っています。
具体的には、施術者、患者様、双方に無駄な力が入っていない、緊張が無い環境か否か、
施術時の患者様の反応性をしっかり引き出せているか、ということです。
訪問マッサージでは、基本的にマッサージ師が一人で施設やご自宅へ伺います。
いわば、全て一人で行う自己完結型のサービスとなります。
そして、受け入れる側は、自分の家・居住スペースに赤の他人を招き入れるわけです。
ここに緊張感、過度に気を遣うなどのことがあっては、良い施術結果を見出せません。
ですから、私は雰囲気を見て、良い環境下の中で施術ができているかを見定めています。
次に重要なことは、
訪問目的(治療目的とプラン)を明確にしているか、ということです。
施術内容が曖昧ではないか、しっかりとした治療目的を持っているか、を見ています。
自分なりの狙い、こうしたい、という意思があれば、それが動きに反映される、施術に出ます。
患者様も当然、意識・無意識的にそれを感じ取りますので、
施術者側に熱意や情熱があれば、基本的に患者様の受け入れは良好となります。
自分なりの意見もしっかり相手に伝えることができ、コミュニケーション向上にも役立ちます。
もう一点、重要と言えば、
しっかりとした病態把握・環境把握ができているか、ということです。
当院の患者様においては、おおよそ要介護2~3の方が多いですが、要支援の方もいれば、要介護5の方もいます。
つまり、病態がその方によってまちまちということになります。
加えて、その方の環境にも当然大きな違いがあります。
仮に全く同じ病態だったとしても、
戸建てで独居の方と、ご家族がいる方、施設にご入居の方では、介入が変わってきます。
独居の方では、一人で生活していくことを想定して、手助けを極力少なくするのが良いかもしれないし、
歩けないと生活できないならば、歩行訓練が必須ということもあるでしょう。
一方、施設ではケアスタッフがいることで、無理に歩くよりは、トイレ回りの動作の安定に留めるなど、
判断が変わることが多々あります。
私が同行する際には、訪問スタッフがどこまでやるか、介助の方法や量など、
また、傷病ごとのリスク管理などを考えて実施できているか、を見ています。
大きく、同行する際の視点、3つの点をご紹介しましたが、
いずれにも関係するのは、患者様の状態を知ろう、理解しようと努力しているか、だと思います。
この前向きな気持ちが、患者様に伝わることで、有効な関係性へと繋がっていきます(ラポール形成)。
そのためには、まずはその患者様の同意書の傷病名確認、病名(疾患)や症状についての勉強が必要です。
私が15年前に訪問リハビリにPTとして初めて入った時には、
まず、その患者様の疾患について、とことん調べることから始めました。
それによって、知識を深め、何を質問されても答えられるように努めました。
これにより、患者様からの信頼を得ることができ、
「先生は真面目で勉強家ね。」「お医者さんみたいに良く知っているわね。」などと、よく言われました。
PTやあんまマッサージ指圧師の養成校では、勉強に妥協せず、全力でやっていましたから、その成果もあるとは思いますが。
基本的には、こうしたことで、
自身の担当する患者様の疾患、病気についての知識を深めること、色々と調べること、から始めるのが最善だと考えます。
特に今は、インターネットなどで調べれば、エビデンスの高い情報が色々と出ていますので、
論文や書籍を調べる(買う)、セミナー参加などで勉強しなくても、家でできることが大幅に増えています。
そうした意味では、今の世の中は大変に便利になったと言えます。
オンラインでのセミナー、動画配信サービスなどは、非常に安価で質の高いものが多く見られます。
毎週週末、都心に出かけて1~2万円払って、終日セミナーに参加する、
セミナーでは録画がダメだから、一生懸命にノートを取る、スライドに書き込む、などは必要ありません。
週末は適度に休みながら勉強ができる、給料の大半をつぎ込まずに済む、って本当に素晴らしいことです。
便利なものは、有効活用してもらい、患者様に対しての知識を高めていって欲しいと思います。
知識を積み重ねていく中で、自分なりの考えやイメージも掴みやすくなり、技術も向上していきます。
それをとにかく2年、3年と続けていくこと、です。
私の経験では、
おおよそ、ある程度のことが分かり、判断がつくまで5年。
大抵のことには対応でき、自分一人でしっかりとした結果が出せるまで10年。
自分なりの治療の考え、自分の特質、自分の治療家としての役割・道を見出すのに15年。
といったところでしょうか。
私自身もまだまだ発展途上ですから、更に20年、30年と、
自分なりの治療の考えを突き詰めていきたいと思っています。
訪問マッサージにおいて、何からやればいいのか、どうすればいいのか、と迷うことがあれば、
ぜひ、その患者様の病態把握からしっかりやられることをお勧めします。
そのうち、疾患以外のこと(その方の気質、周りの方の考えなど)も感じ取れるようになり、
その方にとって何が最善であるかを、自分なりに判断できるようになると思います。
この仕事は、一生勉強ですから、とにかく息切れせずに、めげずに行きましょう。
今日はここまでとさせて頂きます。
いつもご支援、ありがとうございます。
町田市・多摩市・稲城市の訪問マッサージ
ダヴィンチ治療院 理学療法士・あんまマッサージ指圧師 神田 裕幸
懐かしい、6年前(2016年)の当院での練習会の写真がありました。
鶴川市民センターが改修工事で半年間使えず、野津田会館を借りてやっていました。
今はコロナで対面での研修・勉強会が難しいですが、そちらもぜひ、やっていきたいですね。