治療力のある治療院とは?
お世話になっております。
ダヴィンチ治療院、院長の神田です。
今日は、ある柔道整復師の先生から来た、相談メールのことについてお話します。
その先生は、以前、同じ柔道整復師の学校に通っていた私の同級生であり、
今は卒業され、既に柔道整復師として働かれています。
私も柔道整復師を取るつもりでしたが、1年を終了した時点で、学校を中退しました。
ダヴィンチ治療院での業務を行いながら、学校に通ったわけですが、
さすがに、仕事が忙しくなって、これ以上の学校継続は難しいと判断し、リタイアしました。
直接一緒に学んだのは1年だけでしたが、その後もその先生とメールでやり取りをしていました。
今回、久々にメールが来たのですが、以下の内容での相談でした。
「実は、今、求人活動をしているのですが、治療力のある治療院を探しています。整形外科でのリハビリを経験したのですが、治療に対して理想も熱量もなく、新人教育もしていませんでした。働く先生方は、個々で勉強もしていないようです。場所や求人のあるなしは関係なく、治療力のある治療院はあるでしょうか?」
私は、このメールを見て、即座に3つのこと(視点)をお答えしました。
1つ目は、治療力がある人は、一人で開業していることが多い、ということ。
2つ目は、そもそも、治療院で複数のスタッフを抱えるということは、システム化がされている、高い治療レベルを追求するのは難しい、ということ。
3つ目は、治療力とは自分で身に付けるものであり、人から教わることではない、自分の理想は自分でしか体現できない、ということ。
以上のことをお伝えしました。
私に置き換えても、理学療法士としての経験はあるにせよ、あん摩マッサージ指圧師を取得して、その月中に訪問マッサージを開業しました。
誰からも訪問マッサージの仕事のこと、事務的な手続きなどは教わっていませんでしたが、とにかく自分でやってみようと思い、ダヴィンチ治療院を開設したのです。
どこかで最初は経験を積んでから、他の人から学ぶ、という発想はありませんでした。
それでも、こうして治療院開設から10年半が経ち、私だけだったマッサージ師も、今は全16名となっています。
訪問マッサージとしての最高峰を目指し、人のため、世のために良いことをやろうとして、日々頑張っています。
これが、全てであり、一番の答えではないかな、と思います。
治療家としての高みを目指すならば、人を当てにせず、自分の熱意をもって、日々努力する他ないと思います。
決して間違えてはならないことは、
その柔整の先生が働いていた整形外科、リハビリ職員は、何一つ悪いこと、誤ったことはしていないということです。
そもそも、治療に対しての考え方、理想や熱量というのは、人それぞれです。
資格を取得した理由、マッサージ師や理学療法士など、その職業や職場環境を選んだ理由も違います。
個々で勉強するもしないも、何を勉強するかも、その人次第です。
現状として、環境や他人から受け入れられており、特に問題・トラブルがないのならば、それでいいではないでしょうか?
それを意欲が低い、向上心が足りないと否定し、治療家はこうあるべきだ、と押し付けるのは、独りよがりです。
人に雇われ、人に与えられた環境で働くならば、尚更です。
管理がなされているから組織が成り立ち、目的も達成できるものとなります。
そうではなく、
あくまで、もし自分の考え、こうするべき、ということを100%実現したのならば、
それは、自分でやる、一人で開業するしか方法は無いということです。
そうしたことを、その先生にお伝えしたところ、今の自分には治療力が圧倒的に足らない、とのことでしたが、
前述した通り、治療力を付けてから開業する、治療力を付けられる環境、というものがそもそも不確かなものなのです。
確実なのは、自分でやろうと強い気持ちを抱き、それに向けて行動することです。
そして、
結果として、そうして行動してきた人が治療力のある治療家となり、治療力のある治療院を運営しています。
そのことを念頭に置いて、自分で道を切り開き、努力を続けてもらいたい、とお伝えしました。
過去を見れば、ダヴィンチ治療院においても、スタッフ教育については随分と苦労しました。
半年間、付きっきりで研修・教育を行いましたが、それでもほぼ成長しなかった、変わらなかった、マッサージ師もいます。
リハビリの知識や技能を一生懸命に教えたところ、「我々は理学療法士ではない、マッサージ師だ。」といって反抗する方もいました。
資格の棲み分け、リハビリとマッサージはそれぞれの専門職がいるため、職域を分けるべきだ、という考えを持ったマッサージ師も複数いました。
彼らに対して、いくら私が一生懸命に教育を行い、評価や運動の大切さを伝えようとしても、結局はダメでした。
指導事項を前向きに受け取らず、自分を否定している、押し付けてくる、などの発想から反抗的となりました。
そのため、私の今の研修・教育においては、知識や技能などよりも、治療家としての精神、熱意や向上心を伝えること、
そして、訪問するマッサージ師がそうした前向きで努力していることを最大限に評価すること、見逃さないようにすること、
これこそが最も大切であり、院長・管理者としての務めであると考えるようになりました。
下手な研修を行うよりも、態度や姿勢で示す、熱意を院内に巡らすことのようが良い治療院づくりには有用です。
努力する、努力できる環境を院内に作ることこそが、治療力を育てる治療院づくりということになります。
当院に入職してきたマッサージ師については、皆、一応に不安に感じ、訪問で苦労をしていますが、
半年後には訪問にも慣れてきて、1~2年後には、かなり立派な思想を持った治療家へと成長しています。
治療院として重要なのは、『ブレない軸・信念・方針がある』ということであり、
これをずっと保ち続ければ、自ずと治療院としての色や雰囲気が形成されてくる、ものだと思います。
色々と走り書きをしましたが、
今日の結論として、
治療力のある治療院とは、システム化されたものではなく、施術レベルが高い治療院でもない、
治療院としての信念や理想をしっかりと持っていること、それにより自ずと形成されてくるもの、ということです。
ですから、知識や技能を学べる、しっかりと教われる環境でないと治療力は付かない、という訳ではありません。
真に治療力を付けたいならば、まずは自分の目的意識を明確にして、イメージしながら自ら努力することです。
私は、それが一人前の治療家になる遠いようで、一番の近道と思います。
当院でも、過去に2名のスタッフが、退職した後に訪問マッサージを開業し、各々の場所で成功していますが、
技術や知識というよりも、当院の考え方や方針を学び、自分らしさを追加した、という感じが致します。
そもそも、何を持って成功と言えるか、という話もありますが、
自分の考えの元、自分のやりたいことをしっかりと表現できている、それが患者様達からも受け入れられている、
これは、大きな成果、成功ではないかと思います。
ダヴィンチ治療院として、これからも高い意識(医療・貢献の心)を持ち続け、しっかりとした治療が行える環境づくりに励みたいと思います。
引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします。
町田市の訪問マッサージ ダヴィンチ治療院
理学療法士・あんまマッサージ指圧師 神田裕幸
介護福祉士あてに行った起居動作のバイオメカニクスについての研修資料です。
院内のみならず、できる限り、大勢の方に役だつ情報を出していきたいです。
そして、必ず資料作りの際には邪魔をされます。遊んでいるわけではないのですが。
これも愛嬌ですね。