特別講座(丹田呼吸法・逆腹式呼吸)の補足事項と反省
お世話になっております。
ダヴィンチ治療院、院長の神田です。
今月の14日に開催されました、町田市介護人材バンク特別講座「逆腹式呼吸法」において、私が講師を務めさせて頂きました。
当日の講義資料に関しては、前回のブログ内に添付しておりますが、結果アンケートを頂きましたので、こちらもご報告させて頂きます。
アンケート結果を見ますと、ほぼ全ての方が「とても参考になった」「参考になった」と仰って下さいました。
一生懸命にやった甲斐があったなと、ホッとしています。
ただ、反省点として、講義時間が1時間と少ない中、ボリュームが多かったなと感じています。
できる限り、参加される皆様のために、一つでも良い情報を持って帰って欲しい、という気持ちでしたが、
結果として、色々と話過ぎて重要なポイントを絞り切れなかった、実技の時間が少なくなってしまった、と思います。
そのことについては、非常に申し訳なかったと考えております。
次回以降、もしまた依頼があれば、その反省点を活かしながら臨みたいと思います。
さて、アンケートの自由意見を見させて頂くと、その中でアドバイスできそうなものも、いくつか散見されました。
そのため、ご意見に対する私の回答・考えをここで少し紹介させて頂こうと思います。
ご意見① 「丹田呼吸法をなぜ逆腹式呼吸法と呼ぶのか?よくわからなかった」
丹田呼吸法が今回の講義のメインテーマでしたが、丹田呼吸法自体は書籍でも紹介されているものであり、
白隠禅師が開発された呼吸法、禅病を克服するために用いたとされています。
逆腹式呼吸法というのは、完全に私の付けたオリジナルの名称となります。
通常の腹式呼吸法は、呼気(息を吐く)時に腹部が凹みますが、丹田呼吸法は下腹部を膨らますように息を吐きます。
そのため、逆腹式呼吸法という名前で置き換えさせて頂きました。
綿密には、私自身が行っている呼吸法は、丹田呼吸法と似てはいますが、厳密には異なるため、こちらが正規の逆腹式呼吸法と呼べると思います。
私のオリジナルの呼吸法をお教えするよりも、講義内容として一般的な丹田呼吸法についてお話した方がいいと考え、このような言い回しとなっております。
ご意見② 「細胞1つ1つが本当に大切なことも勉強になりました」
今回の隠れたメインテーマと言って良いと思います。私たちは、一人一人が約60兆個の細胞の塊から成り立っています。
細胞が活性化するには、代謝(異化・同化)するには、酸素と栄養(主にブドウ糖)が必要です。
60兆個の細胞全てに酸素を十分に供給するためには、当然、呼吸が大切、ということを知って欲しかった狙いがあります。
特に、今は色々な呼吸法や健康法が提唱されていますが、その根底として、細胞に必要なもの、ということを理解することが一番と考えました。
ご意見③ 米と小麦の違い(食事法)について勉強になった
これは、便秘の方から質問があり、丹田呼吸法が便秘改善にも利くか?ということに付随して私が言った内容です。
丹田呼吸法には、自律神経の安定という作用がありますから、当然、便秘(自律神経症状)にも効果はあると言えます。
それに加えて、主食を小麦からお米に変えるのも良いとお話しました。
お米、特に玄米などには多くの食物繊維が含まれ、お通じが良くなりますし、必須アミノ酸も多く含まれています。
リジンという必須アミノ酸だけが米には含まれませんが、味噌や醤油、納豆、豆腐などの大豆の中にリジンが豊富に含まれています。
つまり、白米(できれば何割かは玄米)と大豆食品を一緒に摂取すれば、炭水化物とタンパク質はある程度取れるということになります。
これだけでも、栄養面としてはかなり得られることになります。
過剰摂取は、胃腸にストレスを与えることになり、必要な場所に血液を回せなくなる原因にもなりますから、これをベースとした食事スタイルにすることは有用と考えます。
加えて、小麦に関しては、グルテンという成分があり、中毒性や粘着性が強い物質となっています。
腸管にこの粘着性の物質が張り付くことにより、腸の隙間を広げようとする作用が働きます。
この際に、有害な物質が一緒に腸管内へ入る恐れがあります。これを腸漏れと言います。
腸管に対して、慢性的な炎症所見を生じさせる原因にもなり、疲れやすい、倦怠感が常に伴いやすくなります。
小麦に関しては、国産小麦にしろ、外国産小麦にしろ、グルテンなどの成分は必ず入っていますから、こうした弊害は必ず生じます。
更に、外国産の小麦には大量の農薬が撒かれています。ヨーロッパなどの諸国では認可されていないもの、多量の農薬が日本に入る小麦には含まれています。
これは非常に危険と言えます。便秘のみならず、悪性腫瘍(癌)などを誘発する恐ろしいものです。
日本には、元来、美味しいお米が育つ風土があり、それは諸外国には無いものですので、これを大事に守ることが大切なのだと思います。
ご意見④ 「仕事を続けていくため必要な体力の作り方、食べ物の話などをして欲しい」
まさに、今回お話したことが答えとなります。
正しい呼吸法で細胞に酸素をしっかりと与える、お米を中心とした食事生活で胃腸を整え、必要な糖(ブドウ糖・グルコース)を細胞へ送る。
ということに尽きます。
体力や健康とは、こうした健全な生活習慣から成り立つものであり、無理に筋トレやジョギングなどを行っても得られるものではありません。
ご意見⑤ 「認知症を食い止めるために上手に老いるためには何が必要か?」
これも、④のご意見と全く同じ回答です。
認知症、特に病気で言えばアルツハイマー型認知症の方が多いですが、これは脳のびまん性萎縮を伴う脳細胞の変性を指します。
老人性認知症にしても、脳細胞の不活が影響すると思われます。
退行変性にて、老化により身体の各機能は低下し続けますが、神経系については、伝達速度は老化の影響を受けにくく、比較的維持がなされるものです。
そのため、晩年になっても、執筆活動や芸術分野にて素晴らしい成果を発揮されることも多いのです。
それが、脳の細胞が変性、減っていくというのは、本来はあまり考えにくいことなのかもしれません。
健全な食生活、呼吸法、生活習慣を行えば、自然の老い、退行変性となるため、脳の活動は最後まで保持されるというのが当然というべきでしょう。
ご意見⑥ 「筋力をつける、長く自分の足で歩くということが介護に繋がらない、足の筋力の付け方を教えて欲しい」
まず、筋力をつけることが=歩行の維持に繋がるのか?ということを考えてみましょう。
確かに、立っていられないほど体幹や下肢筋力が不足していれば、歩くことは難しいですが、
そもそも、歩行というのは全身運動であり、局所的な筋への負荷は少ない運動となっています。
実に全身の80%程度の筋を歩行に際して導入しますが、逆に言えば、一つ一つの筋への負荷量(負担)は少ないと言えます。
だから、若い時には誰でも数時間程度は歩けますし、私のように元自衛官では、夜通しで行軍(荷物を背負って40km歩く)などを行ったりできます。
当然、下肢のみならず、体幹や上肢の筋も使われ、下肢の筋も屈筋と伸筋を共に協調的に用いるため、大腿四頭筋(膝の伸筋)などが極端に疲労することもないのです。
それを考えれば、単に筋力を付ければ良い、ということではないことが分かります。
実際に、当院の患者様でも、フルスクワットを毎日200回以上行っているにも関わらず、歩行は数mしかできなかった方もおります。
逆にほとんど筋が萎縮してしまっていても、スイスイと歩けていた方もいます。
それらの理由としては、姿勢や動作パターン、つまりは歩く姿勢と歩き方が良いか、悪いかの方が深く関わっているからです。
先ほどから述べているように、歩行は全身運動でありますから、逆に言えば、身体が機能的に働く(協調的に働く)必要があります。
円背姿勢で前かがみとなれば、前後のバランスが崩れ、姿勢保持に関わる筋力が大幅に上がる、加えて股関節や膝関節が屈曲(曲がる)ため、骨で支えられずに筋力を用いる、
結果として長く歩けない、歩く際の筋力が格段に上がってしまう、ということになります。
結論として、筋力よりも普段の姿勢、歩き方への意識の方が大切ではないかと思います。
以上、講義に参加された方のご意見に対し、私なりの回答や考えを述べてみました。
今は情報社会となり、あらゆる情報が入ってきますが、その中で大切なことは基本であり、原則であると思います。
人間=生物=自然の一部 として、自然に沿って健全な生活を営めば、病気にはかかりにくく、最後まで歩く、考える、行動する、ことは維持されるものと考えます。
至極当然のことなのですが、あまり情報に頼り、細部のことばかり考えると、深みにハマって、何が大切なのかが分からなくなります。
全ての答えは単純なことで、呼吸で細胞に栄養を、食物で細胞に栄養を、それによって正しい代謝を、ということです。
そうすれば、我々、医療従事者の介入するケースも限定されてきますし、必要な方に必要なサービスが適正に行えるようになる、
そして、毎年かかっている40兆円を超える医療費の削減などにも繋がると考えます。
それを推進することが、本来の医療に関わる者の仕事、役割と言えるのではないでしょうか?
下手に情報を振りまき、不安を助長させ、医療機関へ通わせることが仕事ではないはずです。
話がやや脱線しましたが、そんなわけで、当院も自然に則り、多くの患者様のために今後も尽力したいと思っております。
引き続き、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
町田市・多摩市・稲城市・多摩地区の訪問マッサージ ダヴィンチ治療院
理学療法士・あんまマッサージ指圧師 神田 裕幸