訪問マッサージで行う機能評価と目標設定について(前編)-院内ブログ

訪問マッサージで行う機能評価と目標設定について(前編)


お世話になっております。

ダヴィンチ治療院、院長の神田です。

今日は、当院での新規のご依頼後に行う、体験訪問(初期評価)についてお話をさせて頂こうと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

当院では、新規依頼の大半が、患者様を担当するケアマネジャーからのご紹介となっております。

ご紹介を頂いた後の流れとして、基本的に私が体験訪問(無料体験)に伺います。

その際に、お試しのマッサージを行うのに加えて、機能評価(初期評価)も行います。

起居動作、移乗動作、移動(歩行)能力などを見て、姿勢や動作パターン、問題点などを把握します。

当然、マッサージや関節運動を行いながら、主訴の痛みや症状、関節や筋組織などの状態も確認します。

当院の依頼では、実に8割以上がマッサージ+リハビリのご希望であり、マッサージのみという方はほとんどいません。

そのため、上記の評価を体験訪問時にしっかりと行っておく必要があります。

理学療法士とあんまマッサージ指圧師の資格を持つ、私だからこその責務とも言えます。

さて、その時に作成した初期評価表には、今年から長期目標(6か月)と短期目標(2か月)を必ず記載しています。

これは、昨年の町プロ協議会にて町田市訪問マッサージ連絡会の加入事業所に義務付けられたことです。

※町プロ:町田・安心して暮らせるまちづくりプロジェクト

当院も町田市訪問マッサージ連絡会に加入しているため、目標設定の記載が必須となっています。

特に私は、訪問マッサージ連絡会役員で研修担当を担っておりますので、しっかりとした評価表を出す立場にあります。

そのため、当院では更に評価表だけではなく、経過(施術)報告書についても、2か月ごとの目標を設定するようにしました。

そして、当院の訪問スタッフ全員が、担当する患者様の治療目標を掲げ、それぞれ日々努力しています。

初期評価表の話へと戻りますが、

当院では初期評価表のレイアウトとして、開設当初(10年前)から独自の物を使っています。

昨年以前までは、前半に機能評価(主観・客観的データ)、後半に統合解釈という形で考察を入れたレイアウトを採用していました。

理学療法士としての実習時のレポートや発表レジュメを参考にしたり、SOAPを参考にしたりと、

できる限り、読み手に取って分かりやすい内容、書き方を心掛けておりました。

今年に入ってからは、私がケアマネジャーとして東京都で登録を受けたこともあり、

ケアマネジャーのカリキュラムを組み入れることにしました。

結果として、評価表のレイアウトを一新し、ICF(国際生活機能分類)方式を取り入れるようにしました。

この理由として、ケアマネジャーの実務研修ではICF方式での考え方を積極的に取り入れており、

その方が評価内容も伝わりやすくなるのでは、と考えたためです。

ICFと言えば、私が理学療法士の学生時代に、ICIDH(国際障害分類)からICFに切り換えが進み、臨床実習では両方で記載をさせられていました。

icf.png

単純に、ICIDHの方が作成はしやすかったのですが、患者様のネガティブな部分のみに注視しがちとなる、という観点から、

ポジティブ面や生活環境面、個人因子にも注目したICF方式が多く採用されるようになり、その流れは現在へと続いております。

確かに、その方が、その人らしさ、個人に注目した機能評価が可能であり、単に疾患や機能障害のみの視点から逸脱しやすくなります。

ただ、その分、評価項目や記載が複雑になり、包括的な考え方が必要となります。

まさに評価者の能力や経験が求められ、解釈結果にも大きく反映されると思われます。

せっかくICF方式を採用していても、その方の包括的な問題点、状況が読み取れていないと、上手く表現ができないというのが難点ですね。

非常に時間を要し、作成する手間も今までの数倍以上ですが、

評価法としては優れているので、精一杯、このICF方式で評価させて頂こうと思います。

実際には、おおよそ、お一人の初期評価表を作成するのに、2時間程度かかっております。

体験訪問でのマッサージや動作分析なども加えて、合計34時間を費やす計算となります。

非常に集中力と労力を費やすものとなっていますが、プロの医療従事者として、理学療法士として、ここは妥協したくないですし、

中途半端な機能評価では、患者様に失礼となりますので、100%全力でやらせて頂いております。

まだ話が長くなりそうですので、今回は、一旦ここで終わりにしたいと思います。

次回の後編では、評価や目標設定について、今度はマッサージ師の立場から述べてみたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

町田市、多摩市、稲城市、多摩エリアの訪問マッサージ

ダヴィンチ治療院 院長 神田 裕幸