訪問マッサージにおける【診断即治療・評価即治療】
お世話になっております。ダヴィンチ治療院の院長神田です。
今日は、診断即治療 ということについてお話しします。
治療家であれば、1度はどこかで聞いた言葉ではないかと思います。
特にマッサージ師や鍼灸師など、東洋系の国家資格ではしばしば言われる言葉です。
私は浪越出身(日本指圧専門学校)ですが、
母校では、診断即治療ということをいつも言っていました。
実技を行う場には、診断即治療と書かれた看板が壁に貼ってあり、
実技前には学生が声を出して読む、という習慣がありました(今もやっているかは不明)。
診断即治療とは、マッサージ師でいうところの、
マッサージ・指圧を行いながら、診断も同時並行で行う、
そして、診断に合わせた治療を直ちに実践する、ということだと思います。
診断ということに限れば、
患者様に触れることで、そこから必要な情報を収集し、病態を正確に掴む、ということだと思います。
非常に重要な概念かもしれませんが、
この診断という言葉は、気を付ける必要があります。
それは、診断は医業に含まれており、医師法の17条では、医業は医師しか行えないとあります。
ですから、不用意に診断という言葉を使うと、医師法に抵触する可能性があります。
学生であった時の私はそれを知っていたので、
学校(教育機関)で診断と気軽に教えていいものか、と違和感がありました。
下手な語弊を抱くよりも、他の言い方に変えればいいのに、と思っていました。
私の中の考えとしては、診断ではなく評価の方がいい、と考えていました。
これならば、堂々と使えますし、医師よりもセラピストの方がむしろ良く使う概念、言葉です。
では、この評価とは何か、ということですが、
理学療法評価学の教科書に書いてあったので、紹介しますね。
評価とは、患者の持つ症状や障害を把握して、それらの情報を分析し、治療方針を立案して、その治療結果を確認し、患者の将来を予測する過程、とあります。
加えて、これは医師が行う疾病の診断に対応するものであり、ほぼ同様のこととも記載されています。
ですから、合法的に考えれば、我々マッサージ師が行うべきことは、
やはり、診断即治療ではなく、評価即治療となります。
ちなみに、教科書には、こうも記載されていました。
理学療法における評価は、特定の時間を設けて実施するだけではなく、治療中の全過程において、患者の動作や反応を観察して評価する。
したがって、治療即評価であると言える。
紛らわしいですが、まとめると、
我々治療家・セラピストに求められていることは、評価即治療であり、治療即評価である、ということ、
治療と評価は同時に行うべきもの、ということです。
なるほど。さて、
ここから、ダヴィンチ治療院での話となりますが、
最近、私がスタッフに同行訪問した際や、施設へ伺った際に、次のようなことを言われました。
ダヴィンチさんでは、患者様の車椅子移乗をしてくれるのか?
それとも施設スタッフがしないといけないのか?
訪問前後の移動までしてくれるのか?
食堂まで患者様を連れてきてくれるのか?と聞かれました。
他のケースでも、
ダヴィンチさんで、どこまでやってもらえるのか?
マッサージだけか、リハビリもやってくれるのか?
嚥下訓練は?
ポジショニングや環境設定のアドバイスは?
自主トレーニングやセルフケアの指導も行ってくれるのか?と聞かれたりします。
それに対して、私は以下のように回答しています。
可能な範囲で包括的な介入をいたします。
医療従事者として、やるべきこと、やれることであれば、極力、何でもやります、
ただし、訪問するスタッフにより、性差があり、体格差があり、知識やスキルにも差があります。
その担当スタッフが行える範囲で、精一杯やらせて頂きます。
と概ね、このような内容にてお答えしています。
これが、今日のテーマである評価即治療に何の関係があるのか?と思うかもしれませんが、関係大有りです。
我々は、日々、患者様の訪問に携わり、その都度、評価と治療を行っていることになります。
ですから、毎回、評価を重ねており、患者様から得る情報量も日々増えていきます。
言い換えれば、対応できること、やれることも増えていきます。
具体的には、初回の訪問ではできなかったことが、1か月後、数か月後にはできるようになっている、
見送っていた訓練も難しい移乗も、情報をフィードバックしていくことで可能になっていきます。
それが、私が答えた可能な範囲で包括的な介入をする、やれることは何でもする、ということの真意です。
当院で働くマッサージの先生方には、そうしたことを念頭に置いて、日々、頑張って頂きたいと思っています。
加えて、お一人の患者様で得た情報や経験は、次の患者様、他の患者様へと活かすことができます。
つまりは、
我々が訪問を重ねていく分だけ、我々のやるべきこと、やってあげられることが増える、
我々の能力値も上昇し続けるのです。
これが、訪問マッサージ、在宅医療での楽しみ、醍醐味とも言えます。
ですから、最初から消極的にならない、やらないと決めつけない、我々の仕事ではない、と変に区切りを付けない方がいいです。
それが自分の成長を妨げ、患者様の利益も損ねます。
何度もやっていれば、必ずいつかは自分のものにできますが、最初からやっていなければ、いくら月日を重ねてもできません。
0は積み重ねても0ですから。
1を2に、2を3にと、積み上げていくことが重要です。
この仕事の可能性は無限大です。やるべきことに下限はあっても、上限はありません。
そうした心持で、ぜひ、在宅現場を盛り立て、地域や医療に貢献できるように取り組めたらと思います。
引き続き、ダヴィンチ治療院へのご愛顧、応援のほど、よろしくお願い申し上げます。
今回の内容については、当院のYouTube(D-TUBE)でも紹介しております。
ぜひ、ご覧になってください。
町田市・相模原市・多摩エリアの訪問マッサージ
ダヴィンチ治療院 院長 神田 裕幸