-院内ブログ


お世話になっております。

ダヴィンチ治療院、院長の神田です。

今回は、最近増えてきている 訪問マッサージとフランチャイズ、というテーマでお話をさせて頂こうと思います。

最初にお伝えしますが、これはダヴィンチ治療院としての統一した見解ではなく、

あくまで、私個人の考えとなります。その点、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

まず、話の前提として、フランチャイズの簡単な仕組みですが、

フランチャイズとは、本部の有する商標や販売・経営ノウハウなどを加盟店に与えるかわりに、

ロイヤリティを対価として、加盟店が本部に支払うシステムとなります。

私たちの身近にも多く、コンビニや、ファミレス、ハンバーガーやラーメン店、居酒屋、クリーニング店などさまざまな業種、業態のフランチャイズチェーンが存在します。

そして、私達が行っている訪問マッサージ、においてもフランチャイズが増えています。

フランチャイズとして、新しく事業参入する、といった形式のみならず、

元々、一般の治療院経営をしていた事業者が、フランチャイズも行い始めた、という所も出てきています。

私は、フランチャイズという仕組み自体において、特に問題があるとは思いませんが、

こと、訪問マッサージという医療サービスに限っては、反対の考えを持っています。

その理由として、4点ほど述べさせていただきます。

1つ目として、

医療サービス、特に在宅において、単一的なサービス提供が行いづらい、ということです。

患者様によって、基礎疾患、症状はそれぞれ違います。つまり、行うべき治療も異なります。

行うべきサービス内容が多様化するものに、フランチャイズには馴染まない、と考えます。

仮に、同一内容でサービスを行う、20分のマッサージをどの方にも同じに行う、とすれば、

治療の精度は下がり、訪問としての成果も得られにくくなります。

在宅現場と言っても、個人宅や老人ホームなどの施設、それぞれ状況は異なります。

同じような病状としても、独居なのか、介護者がいるのか、施設へご入所されているのか、

施設における対応、環境はどうなのか、によって、サービス内容は変わるのです。

それらに細かく、個別に対応できるのか?という疑問が生じます。

2つ目として、

訪問マッサージの経営者・オーナーが医療従事者に限らない、という点があります。

前述した通り、在宅の医療現場では、多種多様なサービス提供、それに必要な知識、判断力が求められます。

医療的な知識や経験の無いものに、適切な判断は難しいと考えられます。

医師や看護師、ケアマネジャー、介護保険サービス業者との連携、情報供給を図ることが重要であり、

これが不十分だと、患者様への不利益を招き、場合によっては安全上、命にも関わってきます。

訪問マッサージを行うあん摩マッサージ指圧師は、医療系の国家資格者であり、医療従事者としての務めを果たす義務があります。

それを管理・統括する上で、運営者としては、一定の経験と実績を持った医療従事者が行うべきと思います。

医療に関わったことのないオーナー、他のサービス業と同様に、営利的な目的へ主眼を置いてしまうと、一定のリスクを伴います。

3つ目として、

薄利多売のサービスになってしまう危険性がある、という点が挙げられます。

ご存じの通り、訪問マッサージは、医療保険を用いたサービスであり、予め単価(診療報酬)が定まっています。

そして、訪問マッサージは、訪問リハビリなどとは異なり、単位制・時間制ではありません。

つまり、20分で診療報酬が何点、30分以上~60分までで何点、などと決まっていません。

1回あたりの施術で、いくら、というシステムになっています。

極端な言い方をすれば、施術時間が1分でも60分でも同じ料金となります。

法的な面でも、書面やレセプト上でも、時間についての明記はなされていません。

売上、ビジネス的な思考が強まれば、いかに1訪問当たりの時間を短くし、効率よく回るか、という発想になります。

実際に、そうしたビジネスモデルで多くの業者が訪問マッサージを展開しております。

1日10件がノルマ、1213件は回るといったことが出てきます。当院に転職してきたマッサージの先生方も、そうした経験を皆、持っていました。

フランチャイズ店ならば、加盟店料やロイヤリティが発生するので、その傾向は一層強まることでしょう。

4点目として、

そもそも、医療にフランチャイズのシステムは馴染まない、という点をお伝えします。

今までお話ししたように、医療とは、人の命、人生に関わる要素が強く、場合によって危険が生じ、強い責任が伴うものです。

医療保険を使えるということ、それは国から一定の信頼を得るということ、

それに見合った倫理観、責任、実行性を求められているということです。

そのことを理解しないと、医療としての役割をしっかりと果たすことはできません。

我々で言えば、

この訪問マッサージというサービスを通して、あん摩マッサージ指圧師の価値、社会的な意義が問われています。

フランチャイズのシステムを訪問マッサージの事業に照らし合わせると、

親会社に手数料、ロイヤリティを払うためには、一定数以上の訪問が必要、

数をこなすには1件あたりの時間短縮、もしくは人件費を減らす必要があり、

多くの訪問を一人のマッサージ師がこなさなければならない、

当然として無理が生じる、疲れが溜まる、

結果として、サービス自体における質の低下へと繋がってしまう、

そのことで社会的な信用が得られにくくなり、

訪問リハビリに比べて、社会的な信用・認識がいつまで経っても低い、

医師からも同意書を書いてもらえないケースが多くなり、

そうした医師の対応に一定の合理性を持たせてしまっている、

保険者や厚労省からも規制・チェックが厳しくなる、

本来、要らないハズの余計な書類作成を強要され、事務作業が増えていく、

といったことになっていないでしょうか?

私は、ダヴィンチ治療院を開業して12年余り、そうしたことを強く感じています。

当院では、

40分の施術を行っています。

リハビリにも力を入れています。

在宅医療としての役目をしっかりと果たしたいです、 

と訴えてきましたが、

訪問マッサージ業界としての社会的信用・認識が低く、そのことで非常に苦労致しました。

いくら言っても分かってもらえない、誤った認識をされてしまう、訪問マッサージ自体を認めてくれない、 

そうした現状に対し、悔しくてたまらないことが多々ありました。

その大きな要因として、訪問マッサージにおけるビジネス的思考の強さ、外部の参入、フランチャイズの仕組みがある、と思っています。

こうした考え、やり方が、全くダメとは言いませんが、

ぜひ、私が述べた点、これらを加味して、全てを網羅してクリアすること、

それをもって、事業のフランチャイズ化を果たしてもらいたいと思います。

それができないのならば、なぜ、できないのか? それをよく考えて頂きたいです。

今回の私の話については、以上となります。

最後に、ダヴィンチ治療院の体制について、一応の参考に述べさせて頂きます。

当院では、マッサージ師の報酬として、1訪問あたりの歩合制を敷いていますが、

歩合率について、可能な限り、上げるよう努力しています。

事務員も含めた人件費率で計算すると、全売上額の約80%に相当しています。

残りの20%から運営にかかる諸経費を引くので、

最終的に手元に残る金額(利益)は概ね5%程度です。

訪問マッサージのフランチャイズ事業におけるロイヤリティを調べると、

大手でおおよそ売上額の10%~15%となっています。

そのため、もし当院がフランチャイズだったら、毎月赤字となってしまいます。

1年もたたず、間違いなく倒産・閉院です。

ですから、この売上の10~15%という数値は、経営(運営)の生命線です。

ロイヤリティ分を確保するには、人件費率を下げるしかない、でも、

そうすると、働くマッサージ師に対して、多大な影響を及ぼす、ということです。

当院では、スタッフの報酬を重要項目と位置づけしていますので、

働いてくれる先生方の報酬を少しでも上げられるよう、今後も経営を頑張っていきたい、と思います。

引き続き、皆様にはご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

町田市・多摩市・稲城市・多摩エリアの訪問マッサージ

ダヴィンチ治療院 理学療法士・あん摩マッサージ指圧師 神田裕幸

今回のブログを動画にて分かりやすく説明しました。ぜひ、そちらをご覧ください。↓