「遊脚期・立脚期」を武器にする。高齢者歩行を"見立てて介入できる"訪問マッサージ師へ
こんにちは。町田市訪問マッサージ「ダヴィンチの手」です。
今回は、訪問現場で必ず向き合うテーマである**高齢者の歩行(歩行能力)**を、臨床で使える視点として整理します。
キーワードは歩行周期の基本である
**立脚期(stance phase)と遊脚期(swing phase)**です。
この2つを明確に捉えられるようになると、
- どこで破綻している歩行か(原因の推定)
- 何を優先して介入するか(介入順序)
- 何が改善したと言えるか(評価の指標化)
が、現場で"言語化"できるようになります。
「歩き方が不安定」「ふらつく」「歩幅が狭い」という表現を、
**歩行相(フェーズ)と運動学(キネマティクス)**に落とし込めることは、臨床の説得力そのものです。
歩行周期の基本:立脚期と遊脚期(割合と役割)
歩行周期(gait cycle)は一般的に、
- 立脚期:約60%
- 遊脚期:約40%
で構成されます。
■立脚期(体重支持・推進)
立脚期は、足部が接地している時間で、主に
- 荷重応答(Loading response)
- 単脚支持(Mid stance)
- 前方推進(Terminal stance〜Pre swing)
を含みます。
この期間は、単に「立っている」のではなく、
- 床反力(GRF)を受けながら
- 重心(COM)を前方へ運び
- 転倒せずに支持基底面(BOS)内へ制御
する"制御の時間"です。
高齢者の転倒リスクが高まる背景として、
この立脚期での制御能力低下は非常に大きいです。
■遊脚期(クリアランスと次の接地準備)
遊脚期は、足部が床から離れる時間で、
- クリアランス確保
- 下肢振り出し
- 次の接地準備(Terminal swing)
が主な目的になります。
遊脚期の破綻は、典型的には
- トークリアランス不足(つま先が上がらない)
- 下肢振り出しの遅れ
- 接地位置が安定しない
として現れます。
高齢者歩行で起きやすい"相(フェーズ)の崩れ"
訪問現場で頻繁に遭遇する歩容変化は、単なる筋力低下だけでなく、
関節可動域・筋緊張・感覚入力・姿勢制御の複合破綻として表れます。
①歩幅低下(小刻み歩行)
歩幅が狭い歩行は、
- 股関節伸展の不足
- 足関節背屈の不足
- 体幹前傾の固定化
- 推進力の低下(底屈筋群の出力低下)
など、立脚終期〜遊脚初期での推進が弱いことが多いです。
②二重支持期の増加("怖い歩行")
高齢者歩行では、単脚支持を避ける傾向があり、
二重支持期が延長します。
これは、
- 立脚期の安定性不足(特に中殿筋・体幹制御)
- 前庭・固有感覚の低下
- 疼痛や不安感
が関係します。
結果として、歩行速度も低下します。
③すり足・つまずき(遊脚期のクリアランス不足)
典型的には、
- 足関節背屈筋群の筋力低下(前脛骨筋)
- 足部の柔軟性低下
- 膝関節屈曲の減少
- 股関節屈曲の不足
- 運動開始の遅れ(パーキンソニズム含む)
などが絡み合い、遊脚期が不十分になります。
訪問現場では、**床環境(段差・カーペット・配線)**も加わるため、
臨床上のリスクはさらに上がります。
評価は「相を分けて見る」と一気に精度が上がる
歩行を「全体の印象」だけで捉えると、介入がぼやけます。
おすすめはシンプルに、
✅立脚期の課題か?遊脚期の課題か?
を先に決めることです。
- 立脚期が不安定 → 体重支持・バランス・荷重の問題
- 遊脚期がぎこちない → 振り出し・クリアランス・接地準備の問題
そして次に、
- 体幹(胸郭・骨盤)の制御
- 股関節の伸展と外転
- 足関節背屈と足部機能
- 立ち直り反応や姿勢反応
という順で"原因の階層"を見立てると、介入が明確になります。
訪問マッサージ師だからこそできる「歩行前の準備介入」
歩行訓練や筋トレだけで改善しないケースは多いです。
その理由は、歩行は出力だけでなく入力と準備状態に依存するためです。
訪問マッサージで強みになるのは、
- 筋緊張の調整
- 関節可動域の確保
- 循環改善(浮腫軽減)
- 皮膚・筋膜の滑走性改善
- 呼吸・体幹可動性の改善
- 疼痛の軽減(痛みによる運動回避の解除)
つまり、歩行の"土台づくり"です。
たとえば、
- 足部〜下腿の浮腫が軽減すると、遊脚期クリアランスが改善する
- 股関節伸展が出ると、立脚終期の推進が変わる
- 体幹回旋が出ると、歩幅とリズムが改善する
こうした変化は、訪問現場でも十分に起こせます。
「施術+運動」の組み合わせで、歩行はもっと引き出せる
臨床で大切なのは、
施術が"気持ちよかった"で終わらないことです。
- 施術で動かしやすくする
- 直後に運動課題を入れる
- 歩行で統合する
この流れができると、訪問マッサージの価値は一段上がります。
そして、この一連を評価・説明できることが、
医療職・介護職との連携を強くします。
ダヴィンチの手が求めるのは「見立てて組み立てる臨床家」
私たちが大切にしているのは、
ただ施術をこなすのではなく、
- その方の生活背景を理解し
- リスクを評価し
- 目的を共有し
- 身体機能を引き出す
という臨床の積み重ねです。
歩行ひとつ取っても、
立脚期・遊脚期という基本を軸に整理できれば、
現場の判断スピードと質は確実に上がります。
訪問は、一人で判断する場面が多いからこそ、
基礎が武器になります。
そして、基礎を臨床で使える形に落とし込める人が、
確実に活躍できる現場だと考えています。
「訪問で歩行を見ていきたい」方へ
もしあなたが、
- 高齢者の歩行に強くなりたい
- 訪問での見立て力を上げたい
- 施術+運動で生活動作を変えたい
- 医療・介護職と対等に連携したい
そう考えているなら、ダヴィンチの手の臨床は相性が良いと思います。
"歩ける体"を作る支援は、
ご本人の生活範囲や自信を広げます。
一緒に、現場で通用する臨床を積み上げていきましょう。
ダヴィンチの手は、
訪問マッサージを通して、
その方らしい生活を支えるお手伝いを続けていきます。
ダヴィンチの手で訪問対応しているエリアは、
東京都町田市、多摩市、稲城市(全域)、府中市、国立市、調布市、日野市、八王子市(一部)、
神奈川県川崎市麻生区・多摩区、横浜市青葉区、相模原市、大和市(一部)となっており、
治療院から16km以内を目安に訪問しております。
ご本人様はもちろん、ご家族の方や介護をされている方からのご相談も歓迎しております。
ご興味がございましたら、どうぞお気軽にお声かけください。
地域に根ざした訪問マッサージとして、皆さまの暮らしに寄り添える存在でありたいと考えております。
引き続き、よろしくお願いいたします。
ダヴィンチの手 訪問マッサージ師 岩井 将人
